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答へながら、彼は紅くなつていた。
むかしからおれとこの人とは仲よしだつた――それは押しかくすことのできない悦ばしさだつた。
と気のない返事をした。
「どこの訴訟だ。なに鍵屋、うん、相沢か」
と、小谷が云つた。
「どうしなさつた」
胡坐をかいた道平は今膝小僧までまる出しにしていた。それも日に焦げている。
二人が男を抱き起して、レザア張りの診察台へつれて行つた。男は殆どされるまゝになつていたが、身体は案外自由が利くらしく片手をつかつて横になつた。そして又もやぱつちりと眼を開け、不安さうに房一を見上げた。
関西訛なまりの特長のある呼び方で、彼はちよつと頭を下げた。それはお辞儀といふよりも、何か強談を持ちかけるといつた工合の、一種の身構への感じられる強きつい調子だつた。
次に記すのは、ほんとうの怪談らしい話である。
「どうもおれは、身近かな者だと平気で診られないんだね」
と、鬼倉はすつかり他意のない様子で答へた。